そろそろ次の季節の準備を。春を心地よく迎えるための食事・体ケア
「季節と暮らす」ことを大切にする。
薬膳のベースの考えとなる薬膳の世界では「季節と暮らす」ということをとても大切にしています。その季節に頂きたい食材を頂いたり、その季節に合わせた暮らし方をすることでその季節をごきげんに過ごせますし、体調も崩しにくくなります。それを薬膳の世界では「養生」といいます。養生を普段の生活から心がけておくと、本当に過ごしやすくなるし、体も元気!
この季節の養生は1シーズン前からしておくといいと言われています。(本当は2シーズン前が理想ではありますが難しいですからね。)ですので、立春も過ぎ、お店にも春服が出始めてきたので心と身体も春仕様にしていきたいですね。
では、どんな風に春仕様にしていったらいいのかをお伝えしていきますね。
春はデトックスの時期・気持ちが不安定になりやすい時期?
冬は体を守る養生が必要ですが、春は内側に溜めていて不要になったものを手放す時期です。人間、補うことも大切ですが、不要になったものを手放すことって大切ですよね。いつまでも溜め込んでいては、新しいものを入れても循環が悪くなります。春に今までの自分から卒業して何かを始めたくなったりするのは、この季節柄もあるように感じます。
しかし、そのワクワクした気持ちの一方で、気持が不安定になることはないですか?イライラしてしまったり、気持ちが落ち込んでしまったり、ふさぎ込んだり・・と春は高揚感もある一方で気持ちが安定しない時期でもあります。
春は部署変え、クラス変え、転勤など新生活が始まるので気持ちが不安定になりやすい時期でもありますが、季節柄気持ちが安定しない時期なんです。だから、イライラしても自分を責めず「春だから仕方ないね」くらいの気持ちでOKな時期なんですよ。
次項にデトックスを促してくれる食材と、不安定な気持ちを和らげてくれる食材をおすすめしますので、ぜひ今からの時期取り入れてみてくださいね!
春の養生で食べたい食材は??酸味と苦味のあるものを。
春はデトックスの時期だとお話ししましたが、それを促してくれる食材がもちろんあります。中医学の世界ではデトックスしてくれることを「解毒」といいますが、春は解毒作用のあるものを頂くと体の中の不要になったものをスムーズに出してくれるので、ダイエットに向いている時期は春と言われています。そんな解毒する食材は・・・
【苦味のあるものを!~解毒作用のある食材~】
ふきのとう・ふき・菜の花・たけのこ・たらの芽・しじみ
春の食材って独特の苦味のあるものが多いですが、この独特の苦味が、冬に溜まった体の中の不要になったものを外に出してくれると言われています。
また、春は五臓の中で「肝」という臓腑と密接に関わっているとされています。この肝という臓腑は「感情のバランスを整える」働きも担うとされています。春ってイライラしたり、妙に気持ちが高ぶったりしませんか?それは肝がシステムダウンをしてしまっていると考えられている為です。ですので、春は肝をケアしてくれる食材を頂いて欲しいところ。そんな肝ケアをしてくれる食材は・・・
【酸味があるものを!~気の巡りが悪い時に食べたい食材~】
グレープフルーツ・三つ葉・ジャスミン・かじきまぐろ・ライチ・サフラン(紅花)
肝って「のびのびが大好き!」な臓腑。疏泄と言って、気がスムーズに流れるよう働いてくれるので、この疏泄作用が鈍ると気がうまく巡らなくなります。これらの食材は滞った肝の気の巡りを良くしてくれます。
イライラしたり、怒りっぽくなっている時は酸味があるこちらの食材を。上がった肝の気を下げてくれますよ。
【酸味があるものを~高ぶりを落ち着けたい時に食べたい食材~】
セロリ・トマト・ピーマン・クレソン・穴子・くらげ
のびのび過ごすことが春の大切な養生!
食材ももちろん大切ですが春はのびのびすることを意識してみて欲しい時期。春と密接な関係にある肝の臓腑はのびのびしたことが大好きです!春になるからといっていきなりアクティブにならず、のびのびと好きなことを楽しんだり、生活を楽しんでみてください。
また、冬はあまり体を動かさなくてもいい時期でしたが、そろそろ春に向けて体を動かす事も取り入れていきたいところ。緑があるところでのお散歩を週末に取り入れるなどして体のデトックスを促して気持ちよく春を迎えたいものですね!
参考文献:現代の食卓に生かす「食物性味表」日本中医食養学会 (著), 仙頭 正四郎 (監修), 国立北京中医薬大学日本校
- 執筆者:
- 倉口 ゆうみ